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【イベントレポート】「なぜ買ってもらえないのか?」を現場視点で紐解き、ショッパーの心を掴む商品へ

最終更新日: 2026 / 08 / 07

公開日: 2026 / 08 / 07

対象者

マーケティング担当
‧調査は実施しているが売場でのリアルな実態は収集しきれず、ショッパー⽬線の商品開発できていない⽅
‧売上データやPOSデータは⾒ているが要因まで踏み込めておらず、改善施策が経験頼りになっている⽅

営業‧トレードマーケ担当
・バイヤーの「経験と勘」を覆すための、客観的で強⼒なエビデンスを求めている⽅

販促‧プロモーション担当
・サンプリングを「配布して終わり」にせず、売場でのリピート購⼊に繋げたい⽅

全社共通
・値引きやリベートに頼らず、「カテゴリーの純増」を軸に⼩売と対等なパートナーシップを築きたい⽅
 

本セミナーの内容

・現場だからこそ見える、消費者行動の実態とメーカーの動き
・売場だからこそ見える、購買行動と店頭接点の実態
・得た情報を、どう有効活用するか
・まとめ
 


開催概要

「見られているのに買われない」「そもそも見られていないから買われない」——その分岐点はどこにあるのか。本セミナーでは、数多くのショッパーリサーチ(店頭行動観察)を手がけるクロス・マーケティングと、店頭誘引につながるサンプリングメディア「テンタメ」(エクスクリエ)が登壇。POSデータや事前の広告だけでは見えてこない“売場のリアル”を、現場視点から紐解きました。司会をエクスクリエの長谷川が務め、クロス・マーケティングの峯岸、エクスクリエの小林が現場の知見を共有しました。


長谷川:
ここ数年、様々な調査をご支援させていただくなかで、自社ブランドやカテゴリーのあり方を見直されるメーカー様・ブランド様が非常に多くなっていると感じています。加えて、AIの普及によって検索・情報収集のスタイルが大きく変化しているなかで、「現場を把握すること」の重要性を大切にされる企業が増えています。

そこで今回は「今、生活者は何を感じて商品を選び、購入しているのか」という点を現場だからこそ見える心理や、最新の消費・購買行動を中心にお届けしていきます。


1. 現場だからこそ見える、消費者行動の実態とメーカーの動き

小林:
まず直近で実施した調査データをもとに業態ごとの購買傾向の違いをご紹介します。

コンビニは滞在時間が非常に短い業態です。そのため、認知や「購入する理由」をスピード感をもってつくることがとても重要になります。購入の決定理由としてはクーポンが特に強く、加えて「キャンペーンの対象であるか」という点も上位に入ってきます。短い接触時間のなかで、強い“引き”を用意できるかがポイントです。

関連記事:【調査レポート】コンビニエンスストアにおける店頭・商品施策の購買影響調査(2026年)

次にスーパーです。食品・飲料・グロサリー系(加工食品)など商品の種類が多く、比較購買が起きやすい業態です。そのためカテゴリー内でいかに認知をつくるかという点がポイントになります。例えば調査結果にある「目立つ位置=棚位置」であったり、比較検討時の判断材料となるPOPが非常に重要になります。

関連記事:【調査レポート】スーパーマーケットにおける店頭施策の購買影響調査(2026年)

 

最後にドラッグストアです。医薬品・化粧品・日用品など種類が多く、スーパーと同様に比較購買が起きやすい業態です。購入決定にはやはりクーポンが強く効きますが、目立つ位置・キャンペーン・POPも上位に入ってきます。きちんと比較させながら、効能や価値の理解を促していくことが重要です。

関連記事:【調査レポート】ドラッグストアにおける店頭・商品施策の購買影響調査(2026年)


まとめるとどの業態にも共通して、
価格をダイレクトに訴求できるクーポンが見逃せない要素です。そのうえで、棚位置・POP・キャンペーンによる認知と理解促進を組み合わせ、商品を「選択肢に入れていく」ことが重要になります。

長谷川:
一般論に感じる方もいるかもしれませんが、改めて見ると、その重要性は自分たちが思っている以上に大きいと気づかされるデータですね。最近だと日用品はECで買い、ポイント還元の大きい日にドラッグストアへ——という買い方をする方も増えている中、EC化への懸念もあると思います。この点、いかがでしょうか。

小林:
コロナ渦を経てEC化は確かに進んでいますが、年々爆発的に上昇しているかというと、そうではないと考えています。現状のEC化率はおよそ10%程度。逆に言えば、店頭の領域が約90%を占めており、日本の購買体験における店頭の比重は依然として非常に高い状況です。この比率はそう簡単には変わらないからこそ、思いがけない出会いや買い物の楽しさといった体験を生む、リアルな店頭の売場づくりが重要だと考えています。

峯岸:
ここ数年、店頭(=現場)での調査をご希望されるお客様(クライアント)がとても増えています。様々なデータが存在する中で現場のデータを見たいというのは、「具体的にどのような施策を打てば良いか?」に課題感をお持ちの方が多いのではないかと思います。

数字やアンケート結果は、売場情報とセットで理解することで、より深い解釈ができるようになり、仮説の検証や新たな仮説の発見につながります。

ここでユニークな例を一つご紹介します。ある健康食品(プロテインバー)で、発売当時に売上が伸び悩んでいたケースです。クライアントは「原材料の“大豆”推しが店頭で伝わっていないから売れないのでは」という仮説をお持ちでした。そこでスーパーで購入者アンケートと行動観察を実施したところ、購入理由のトップは「原材料が体に良さそう」。一見、仮説どおり「大豆を推せばいい」と読めます。

ところが、“検討したのに買わなかった人”にも理由を聞くと、同じく「原材料が体に良さそう」がトップに上がってきた。つまり、大豆は購買のトリガーになっていないのではないか、という新たな仮説が浮かびます。では差はどこか——注目したのが、通常は見落とされがちな「フルーツが入っている」という項目でした。購入者と非購入者で差があったのです。

売場の写真を見直すと、パッケージのフルーツの絵が、ちょうどレールPOPに隠れて見えない状態でした。行動観察でも、検討非購入者に最も多かったのは「見るだけ」。手に取らないため、フルーツ感が伝わらないまま売場を去っていたわけです。そこで、触らなくても伝わるよう商品の上面(トップボード)にフルーツの柄を載せたところ、売上が大きく伸びました。データと売場情報を紐づけて解釈することで、新たな打ち手が見えてくる——ここに、売場で調査をする有用性があると考えています。

2. 売場だからこそ見える、購買行動と店頭接点の実態

峯岸:
先ほどは「買った人・買わなかった人」の対比から売場情報を読み解く例でしたが、切り口は他にもあります。カテゴリーによって切り口が異なりますが、ここではアルコールカテゴリーの調査内容をご紹介します。

ウイスキーやワインなど嗜好性のある商品は価格の振り幅が大きいのですが、調査すると価格帯によって“見られ方”がまるで違うことが分かりました。低価格帯(数百円)の商品では、パッケージはほとんど見られず、プライスカードしか見ない。高価格帯になるとパッケージを長く見て、こだわりや産地で判断する。中価格帯では「金賞受賞」のような分かりやすい評価に飛びつく。こうした実態が分かると、一辺倒に同じPOPを作ることが販促費の無駄になりかねないと気づけますし、バイヤーへの交渉エビデンスにもなります。

「どこで」だけでなく「どうコミュニケーションするか」も重要です。例えばヘッドホン。商品間の違いは単に音を聴いただけでは分かりにくいのですが、ヘッドホンの近くに「重低音」と一言添えるだけで、お客様はその場で重低音を確かめようとする。そこに相性のいい楽曲を聞かせると「確かに感じる、この商品はいい」となり、購入に至る。カテゴリーごとに、どんな言葉が興味を喚起するかを探ることが有効です。

長谷川:
確かに自分自身の行動を振り返ってみても「言葉や情報での感じ方」が購買に影響していると実感する場面は多いですね。こうした売場視点に加えて、ショッパーの動向に変化はありますか。

小林:
調査データとして出ているところでいくと「選択肢が多いほど迷う」という傾向が、最近とくに顕著です。世の中的にも「メンタルパフォーマンス(メンパ)」という言葉が出てきていますが、買い物にも同じことが起きています。

当社の調査では、約46%超の方が「買い物の選択に疲れを感じる」と回答しました。上位の要因は、「商品の種類・選択肢が多いこと」、「失敗・後悔したくないこと」、「比較検討に時間がかかること」が挙げられています。つまり生活者は「どんな基準で選べばいいか」に迷っている。だからこそ売場の役割は、その迷いを減らし、選ぶ理由や決め手を提示して納得させることにあります。

 

また商品確認の方法では、「直接手に取って確認してから購入する」が約66.6%を占めます。ECだけで完結する購買もありますが、実物を確認する比重は依然として高い。だからこそ店頭は、「見て・比べて・納得して選ぶ」ための体験接点として価値を残していくことが大切です。

関連記事:【調査レポート】買い物における選択疲れと買い物スタイルの実態調査(2026年)

3. 得た情報を、どう有効活用するか

小林:
テンタメは、利用後のアンケート回答が必須のメディアなので、得たデータを二次活用いただくケースが多くあります。

たとえばある豆菓子メーカーの商品では、「豆嫌いな人が食べてみたら美味しかった98%」といった実際の声を、長らく店頭POPやブランドサイトなどの販促ツールで活用いただいています。実際の購入者・体験者のリアルな声は、商品価値に客観的な説得力を与えます。

もう一つ重要なのが、来店前の理解促進です。当社の調査でも、来店前にある程度・あるいは完全に購入商品を決めている人が過半数を超えています。そのため、来店前に認知や理解を深めておくことが効果的と考えています。たとえばある大豆系飲料は、おからを取り除く一般的な豆乳と違い「丸ごと大豆飲料」で栄養価が豊富という特徴がある商品です。そこでテンタメでは、掲載ページ内で特徴訴求を強め、来店前の理解促進を図りました。ちなみに、購入&飲用後のアンケート回答時に、特徴の理解度の確認もしながら更なる理解促進も行いました。

峯岸:
私からは2点。「活用のために、どんな情報を得るか」という視点です。来店前の情報収集は重要ですが、同時に、頭に競合品を思い描いて来店した人を店頭でどう自社にスイッチさせるかも重要です。

一つ目は、生活者の“固定観念”を捉えること。たとえば「フリーズドライのイメージは?」と聞くと「宇宙食みたい」と答える人がいます。私は宇宙食を食べたことはありませんが、言いたいことはなんとなく分かる——このように人はよく分からない固定観念に基づいて行動しがちです。カテゴリーごとにこうした判断軸があります。

例えばレトルトカレーなら「ずっしり感」が重視されると言われています。ソフトドリンク売場で考えると何百と商品がある場合、人が一度に検討するのは3〜4点程度。だからこそ判断軸を押さえないと、そもそも検討の土俵に立てず、買われずに終わってしまいます。

二つ目は、売場で“違い”を感じさせること。単に差別化を図ろうということではなく、「あれ? この商品は何だろう?」という小さな“ハテナ”を持たせるのがポイントです。人は売場で迷うとすぐに検討をやめてしまう。そこで有効なのが「識別性」です。たとえばワインの赤・白のように色味で違いをつける。すると、同じ商品展開数でも1人あたりの検討点数が約1.5倍に伸び、「売場が商品豊富に感じる」といったスコアも上がります。

こうした調査は、流通・バイヤー向けに「カテゴリー全体を活性化させるためのエビデンス」として使われるほか、ローンチした商品が伸び悩んだ際の要因把握(製品改良・店頭の見せ方の改善)にも活用されています。

4. まとめ

峯岸:
生活者は年々知識をつけ、店内の検討時間が短くなっています。だからこそ重要なのは、短時間で理解させること。ソフトドリンクのように何百とある中で検討されるのは数点だけ——その初期の土俵にどう立つかが肝心です。購買プロセスの初期で「識別性」を高め、ポイントを一言で伝える。同じ情報量でも、伝え方ひとつで検討率は大きく変わります。

小林:
私からは大きく3つです。

① 選択疲れを解消する売場づくり:リアル店舗は「迷わず納得して選べる」体験の場。棚位置やPOP、情報量を組み合わせ、明確な選択理由を提示することが大切です。

② 購買行動の「両輪」を回す:クーポン等による「来店・トライアルのきっかけ」づくりと、店頭でのPOP・キャンペーンによる「購買候補化」を連動させ、両輪で回していく。

③ 「リアルな声」の二次活用:すでに使った人の声(VOC)を販促に転用し、商品価値に客観的な説得力を付与する。

生活者のリテラシーの高まりとともに選択疲れが加速するなか、店前・店中の両面でこれらを設計していくことが重要です。

登壇者プロフィール

■峯岸 信也
株式会社クロス・マーケティング
リサーチオペレーション本部 リサーチ支援室 兼 エンバイロセルジャパン株式会社 リサーチサービス責任者

【プロフィール】
クロス・マーケティングに2012年入社。2015年よりグループ会社のエンバイロセルジャパン(株)での活動を兼任。主な領域はエスノグラフィやショッパー行動観察をはじめ、ブランド(企業)と生活者との関わりを現場で観察するリサーチ。

■小林 亮平
株式会社エクスクリエ
プロダクト本部 店頭プロモーション部 プロフェッショナルマネージャー

【プロフィール】
マーケティングリサーチ業界での経験を経て、2016年に前身の株式会社ドゥ・ハウスに入社。メーカーや広告代理店へプロモーションとリサーチの営業に従事。2020年から店頭プロモーション部を兼任し、新サービスの開発や推進を主導。現在は店頭プロモーション部を主として、自社メディア「テンタメ」を中心に、部門の販促戦略の立案から事業拡大を見据えた業務に注力。

■長谷川 孔介
株式会社エクスクリエ
プランニング・マーケティング責任者

【プロフィール】
YouTube制作会社売却後、DMM.comにて新規事業開発・事業再生、年間3,000案件を実施するインフルエンサーマーケティング会社・株式会社ネクストレンドにて取締役を経験。現在は、株式会社クロス・マーケティンググループにてグループ経営企画GMを務めるとともに、株式会社エクスクリエではプランニング部・マーケティング部 部長として戦略立案と事業推進を統括。株式会社REECHではゼネラルマネージャー(GM)としてインフルエンサー事業全体を管掌するなど、3社・4事業部を横断して経営および事業責任を担う。

本レポートは、2026年6月10日開催セミナーの内容をもとに構成しています。

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