約50年続くハガキ応募キャンペーンをWebへ刷新。コスト1/3で新規獲得率2倍以上、数万人規模のファン基盤構築に成功した新宿中村屋の変革
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約50年もの歴史をもつ株式会社中村屋様の「中華まん」マストバイキャンペーン。2023年に初めてハガキ応募からWeb応募に切り替えた結果、コスト、応募数の両面で顕著な成果が現れました。
今回は、伝統施策の変革を実現したプロモーション課の尾見 浩一郎様に取材。老舗企業で変革を起こす難しさや、実現のきっかけとなったエクスクリエのデータ、会員基盤を構築した先にあるファンコミュニティの展望などを伺いました。
エクスクリエ:
中村屋様が長年大切にされている中華まんのキャンペーンについて、歴史と概要を教えてください。
中村屋 尾見様(以下、尾見):
中村屋の中華まんキャンペーンは1978年に始まり、50年近く続いている非常に歴史ある施策です。社内でも長年にわたり、「毎年恒例の一大行事」として大切に受け継がれてきました。
施策内容としては、対象商品を購入のうえ応募すると、景品やギフトカードが当たるというもの。いわゆるマストバイキャンペーンですね。景品にはゲーム機やギフトカードのほか、やなせたかし氏がデザインした中村屋のオリジナルキャラクター「ニックとアン」をあしらった時計など、時代や需要にあわせてさまざまなものを取り揃えています。
尾見 浩一郎様(株式会社中村屋 ブランド・マーケティング推進室 ブランド・プロモーション課 課長)
エクスクリエ:
長年お客様に愛されてきたキャンペーンなのですね。なかでも、どのようなお客様層の需要が高かったのでしょう。
尾見:
幅広い年代の方々が毎回楽しみにされていましたが、特にご年配層からの応募は非常に高い割合を占めていました。
エクスクリエ:
「恒例のキャンペーン」と認識して毎年応募しているリピーターの方も多そうですね。
尾見:
ええ。とはいえ、毎回2.5%ほどは新規のお客様からの応募でした。既存のお客様との関係性を深めるだけでなく、新たなお客様を獲得するきっかけとしても機能している重要なキャンペーンとなっています。
エクスクリエ:
一方で、長年愛される中華まんキャンペーンにも課題はあったのでしょうか。
尾見:
はい。キャンペーン開始以来、ずっとハガキでの応募を続けていたことが最大の課題です。
エクスクリエ:
たしかに昨今は、マストバイキャンペーンを実施するメーカー各社において、「ハガキ応募からWeb応募への移行」が顕著に進んでいる印象です。中村屋様の場合、ハガキ応募のままではどのようなネックがあったのでしょう。
尾見:
具体的には大きく3つのネックがありました。
1つ目はコスト。毎年数万枚にもおよぶハガキ印刷費、店舗への輸送費、後納の郵送費は莫大なものであり、「キャンペーン費用が高すぎて費用対効果に見合っていないのではないか」という意見は以前から挙がっていました。
2つ目は、ハガキ設置にかかる工数。店頭へのハガキ設置や追加補充の対応は、営業が担っています。店舗とのコミュニケーションのきっかけという側面はありつつも、大きな負担になってしまっていることも事実でした。
3つ目は、アンケート取得のやりにくさです。ハガキの限られたスペースでは、何問ものアンケートを設置することは難しいもの。そのため、「新規応募か否か」程度しか情報を取得することができなかったのです。また、アンケート集計もハガキの山から数百枚を引き抜いてサンプル調査するというやり方で、正確なデータを把握できていないもどかしさがありました。

ありがたいことに、中村屋は長年皆様にご愛顧いただき120年以上続いてきた歴史あるブランドです。その一方で、「顧客視点」でのマーケティングや商品開発はまだまだ課題があると感じています。どのようなお客様が、どうして購買し、何を思って食べてくれているのか……。現状のブランド力に満足せず、お客様のリアルな声を丁寧に捉えていきたいと考えていました。
エクスクリエ:
ここまで明確な課題感があったとなると、社内の合意もとりやすく、ハガキからWebへの移行はスムーズに進みそうに感じますが、いかがでしたか。
尾見:
実は非常に苦戦しましたね。「いつまでハガキ応募を続けるのか」という意見が上がる一方で、ご年配の方に愛されてきたキャンペーンだからこそ、「ハガキ応募をやめるなんてあり得ない」といった慎重論もありました。老舗企業において、50年近く続いてきた仕組みを変えるというのは、大変な労力がかかることなのです。
エクスクリエ:
社内に根強い慎重論があるなか、Webへと舵を切ることができたきっかけは何だったのでしょうか。
尾見:
定期的に取引のあったエクスクリエから、たまたま送られてきたメルマガです。添付されていたのは、プレゼントキャンペーンにおけるWebやSNSの有用性についてまとめた市場調査レポートでした。客観性の高いデータを見ていくうちに、「ハガキからWebに移行しても問題ないのではないか」という考えが確信に変わりました。同時に社内に示すエビデンスとなり、無事社内の合意を得て、中華まんキャンペーンのWeb化に踏み切ることができました。
エクスクリエ:
当社のレポートが後押しとなったこと、大変うれしく思います。改めて、Webキャンペーンの具体的な内容について教えてください。
尾見:
2023年8月1日から2024年1月31日までの6ヶ月間にわたり、「たべて当てよっ!キャンペーン」を実施しました。本キャンペーンを皮切りに、以降は毎年春夏・秋冬の年2回、継続してキャンペーンを実施しています。
なお、エクスクリエには初回から一貫してWebページ制作からキャンペーン事務局対応、応募者管理、データ分析などをお任せしています。

応募にはまず対象商品を購入のうえ、レシートを撮影し、専用ページに投稿して、Web上でスタンプを貯めていきます。2023年実施時は貯まったスタンプに応じ、3つのコースを選べるかたちにしました。各コースの賞品は、「10,000円分のQUOカード」、「5,000円分のQUOカード」、「1,000円分のQUOカードPay」です。
あわせて、応募フォーム上では5問のアンケートを実施しました。ハガキ時代には取ることができなかった、購買理由、喫食タイミング、喫食頻度などのデータを収集しています。また、応募フォーム末尾には「キャンペーン情報を受け取る」のチェックボックスを設け、チェックしたお客様はメルマガ会員「中華まんメルマガフレンズ」に登録させていただく仕組みとしました。
エクスクリエ:
Webキャンペーンへ切り替えたことで、具体的にはどのような成果が得られたのでしょうか。定量的な成果から教えてください。
尾見:
まず大きかったのがコスト削減です。高額な輸送費や郵送費がなくなったことで、ハガキ時代と比較して運用コストを3分の1に抑えることができました。また、全体応募数はハガキ時代を上回る結果となり、新規獲得率は従来の約2.5%から2倍以上に拡大しています。
エクスクリエ:
顕著な成果につながっていて何よりです。懸念とされていたシニアの応募についてはいかがでしたか。
尾見:
実は、ご年配の方々からもハガキ時代以上に応募いただいているんですよね。初めのうちは多少お問い合わせがあったものの、その後は大きな混乱もなく、幅広い世代のみなさまにWeb応募をいただいています。
エクスクリエ:
続けて、定性的な成果についてもお聞かせください。
尾見:
大きく3つあります。
1つ目は、コストダウンによって生じた予算を、キャンペーンの認知向上施策へ投資できるようになったこと。これまで予算の制約で打てなかった店頭サイネージやチラシ、SNS広告などを展開できるようになり、キャンペーンの露出強化に成功しました。
2つ目は、アンケートを通じてリアルなお客様の声を収集、蓄積できたこと。得られたデータはマーケティングや商品開発、プロモーション施策の判断材料として活用し始めています。
3つ目は、メルマガ会員「中華まんメルマガフレンズ」の誕生と拡大。現在は数万人規模の大規模データベースへと成長しています。会員には毎月メルマガを配信のうえ、限定キャンペーンなどをご案内しながら、今後の展開に向けたエンゲージメント向上を図っているところです。
エクスクリエ:
ブランド・マーケティング推進室としての今後の展望を教えてください。
尾見:
今後はメルマガ会員を軸としたファンコミュニティを形成していきたいです。メルマガでの一方的な発信にとどまらず、「中村屋ファン」みんなでワイワイできるようなファンミーティングも開催してみたいですね。新宿にある中村屋本店に集まるのもいいですし、新宿近辺のイベントスペースで大小さまざまなイベントを開催するのも面白そうだなと考えています。

エクスクリエ:
中華まんに限らず、中村屋全体を巻き込んだブランドコミュニケーションへと広がっていくのですね。
尾見:
ええ。現在の「中華まんメルマガフレンズ」は「中村屋メルマガフレンズ」へと拡張予定です。また、2027年は喫茶部を開設してから100周年という節目の年にあたりますので、本店を中心に中村屋全体をより一層盛り上げていきたいですね。
エクスクリエ:
100周年に向けた展開、非常に楽しみです。そうした未来像を見据えるなかで、今後エクスクリエに対してはどのようなパートナーシップを期待されていますか。
尾見:
これから一緒に「中村屋メルマガフレンズ」を盛り上げ、継続性のある強固なファンコミュニティへと育てていくためのサポートをお願いしたいと思っています。目指すは「商品を買ってくれるファン」の先、「誰かに中村屋のこだわりを語ってくれるような熱量をもったコアファン」を多く生み出すこと。そのために必要なデータやノウハウをエクスクリエは豊富に持っているので、今後も「相思相愛」の関係性で、ブレストや情報交換を続けていきたいですね。
エクスクリエ:
「相思相愛のパートナー」という非常に光栄なお言葉をいただきましたが、尾見様がエクスクリエに価値を感じてくださったきっかけを教えてください。
尾見:
実は約20年前にエクスクリエが飛び込み営業で弊社を訪れてくださったことが最初の出会いでした。下調べが不足している飛び込みの営業も多いなかで、当たり前のように店舗に足を運び、中村屋への愛を語ってくれる姿勢に、「一緒に仕事をしたい」と思ったのがきっかけです。
その真摯なポリシーは現担当の方にも受け継がれていて、今では「何でも話せる身近な相談相手」と言える存在です。私が思いついたアイデアをどんどん伝えても、一つひとつ受け止めて丁寧にフィードバックしてくれます。心地よいスピード感でブレストができていますね。
エクスクリエ:
ありがとうございます。最後に、「社内の変革を進めたいものの、なかなか思うようにいかない」と悩んでいる企業担当者のみなさまへメッセージをお願いします。
尾見:
伝統のある企業や組織ほど、「言っても変わらないのではないか」という空気が漂いがちです。しかし、それでも私は「言ってもムダ」なことなんてないと信じています。会社やブランドを良くしたいという信念を持ち、伝えるタイミングと相手を見極めながら、諦めずに発言し続ければきっと変革は起こせるでしょう。
個人的には、エクスクリエをはじめとした「外から中村屋を応援してくれる人たちの期待に応えたい」という想いが原動力になっています。また、外部のパートナーを適切に巻き込めば、「1+1」が3にも4にもなるようなシナジーが生まれるはず。私は社内にいながらも「代理店」のような役割で、社内外を問わずたくさんの縁をつないでいきたいと考えています。いつか新しい世代にバトンタッチしたときにも、「相思相愛」で仕事ができるエクスクリエとの関係性は引き継いでいきたいですね。
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