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販促キャンペーンの種類を徹底解説|現場で効果を出す実践的な選び方

最終更新日: 2025 / 12 / 08

公開日: 2025 / 11 / 10

市場が成熟し、消費者の選択肢が無数にある今、商品やサービスをただ並べるだけでは購入につながりません。販促キャンペーンは「何を、誰に、どう届けるか」で成果が大きく変わります。本記事では代表的な販促キャンペーンの種類を整理し、目的ごとにどのように使い分けるべきかを解説します。


代表的な販促キャンペーンの種類と特徴

サンプリングキャンペーン(試供品配布型の強みと課題)

サンプリングキャンペーンは「まず試してもらう」ことを重視した代表的な手法です。新商品の味や香り、使用感などを体験してもらうことで、広告では伝わりにくい価値を直接感じてもらえます。食品や化粧品業界では王道の手法で、短期間で多くの人に試してもらえるメリットがあります。


一方で、配布コストが大きく、配布先の選定を誤るとターゲット外の消費に終わってしまうリスクもあります。単なるバラマキで終わらせず、ターゲット属性に合った場所やチャネルを見極めることが重要です。


モニターキャンペーン(体験レビューを通じた信頼性獲得)


モニターキャンペーンは、消費者に商品を一定期間使ってもらい、感想やレビューを集める施策です。SNSやECサイトでの口コミが購買に直結することも多いため、実際の利用者の声は広告以上の説得力を持ちます。


ただし、レビューを集めるだけでなく「どう活用するか」が鍵です。たとえば、モニターキャンペーンで集めた利用者の声を公式サイトや販売店で二次利用することで、信頼性の高いコンテンツとして長期的に活用することができます。


店頭キャンペーン(リアル接点ならではの購買喚起)


スーパーやドラッグストアなどの店頭で実施する店頭キャンペーンの種類は、リアルな接点を強みに持ちます。試食や実演販売は、消費者がその場で体験し、即購入につながりやすいのが特徴です。


一方で、人的リソースや会場確保が必要となり、オペレーションの煩雑さがネックになることもあります。現場を運営するスタッフの教育や進行管理が、成功を左右する大きなポイントです。


デジタルキャンペーン(SNSやアプリを活用した拡散力)


InstagramやX(旧Twitter)、LINE公式アカウントなどを活用したデジタルキャンペーンは、低コストで大規模に情報を拡散できる強みがあります。たとえば「フォロー&リポスト」で参加できる形式は参加ハードルが低く、若年層に人気です。


ただし、フォロワー数や応募数が増えても、必ずしも購買に直結するとは限りません。単なる認知施策にとどめず、購入導線を明確に設計する必要があります。


リピート促進キャンペーン(顧客維持につながる仕組み)


購入経験がある顧客に再購入を促すのがリピート促進キャンペーンです。ポイント付与や次回割引クーポン、会員限定イベントなどが代表的です。


この施策は新規顧客獲得よりも効率的に売上を積み上げられる点で重要です。ただし、割引に依存しすぎると「安いときだけ買う」消費者を生みやすいため、特典の質やブランド体験をどう高めるかが成功の鍵になります。


販促キャンペーンの種類別の活用シーン

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新商品投入期に効果的なキャンペーン


発売直後の商品は、まず「知ってもらうこと」が最優先です。この段階ではサンプリングキャンペーンやモニターキャンペーンが特に効果的です。実際に口にした、手に取った体験が、口コミやSNSでの発信につながり、認知を一気に拡大させます。


認知拡大に適したキャンペーン


SNSや動画プラットフォームを活用したデジタルキャンペーンは、認知拡大に強みを発揮します。特に「シェアしたくなる仕掛け」を盛り込むと、広告費をかけずに自然な拡散が期待できます。インフルエンサーを絡めた展開も有効です。


購入率・リピート率を高めるキャンペーン


購入後の体験を起点にしたリピート促進キャンペーンは、利益率の改善に直結します。クーポンや会員限定特典を通じて「次も買おう」と思わせる設計は、多くの企業で売上の安定化に貢献しています。


販促キャンペーンを成功させるためのポイント


販促キャンペーンの成功には「目的」と「ターゲット」の明確化が不可欠


「応募数は多かったのに売上につながらない」といったケースは少なくありません。これは、キャンペーンの目的と評価基準があいまいなまま施策を進めてしまうことが原因です。販促キャンペーンを成功させるためには、「誰に・どんな体験を・どこで届けるか」を整理し、目的とターゲットを明確にすることが重要です。


たとえば、「認知拡大」が目的なら参加人数、「購買喚起」なら購入率、「ロイヤル顧客化」ならリピート率といったように、キャンペーンの種類ごとに達成すべき成果指標(KPI)をあらかじめ設定しておく必要があります。


このような設計段階で、成果のゴールを具体的に定義することで、無駄なコストを抑え、次の施策に活かせる学びを得ることができます。


▢キャンペーンの目的は明確か
▢想定するターゲット像は具体的に描けているか
▢配布・運営・効果測定まで実務に落とし込めているか
▢ブランド体験として一貫性があるか


まずはこの4点を意識して、適切な販促キャンペーンの種類を選択できるようにしましょう。


まとめ|販促キャンペーンの種類を戦略的に活かすポイント


販促キャンペーンの種類を正しく理解し、目的に応じて選ぶことが成果を左右します。サンプリング、モニター、店頭、デジタル、リピート促進といった代表的な種類にはそれぞれ強みと弱みがあり、状況に応じた使い分けが欠かせません。現場では「型」を理解したうえで、自社ならではの視点や工夫を加えることが、競合との差別化につながります。


エクスクリエのセールスプロモーション支援


ここまで「販促キャンペーンの種類」について解説してきましたが、実際に企画・設計・運営までを社内だけで行うのは大きな負担になります。


エクスクリエでは、サンプリング・モニター施策から店頭キャンペーン、デジタル施策まで幅広いセールスプロモーションを企画から実行まで一気通貫で支援しています。特に「モラタメ」「テンタメ」といった独自サービスを活用したキャンペーン展開は、新商品の認知拡大や購買喚起に強みがあります。


・新商品のトライアルを効率的に広げたい
・生活者のリアルな声をマーケティングに活かしたい
・店頭とデジタルを連動させた販促施策を実現したい


こうしたニーズにお応えできるノウハウを揃えています。


▼詳しくはこちらをご覧ください。
https://www.excrie.co.jp/sales-promotion/

 

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店頭で目にする「POP広告」は、消費者の購買行動を左右する重要な販促手法です。本記事では、POP広告の意味や種類、実務での効果的な活用ポイントを整理し、売上につながる仕組みを解説します。 POP広告とは POP広告の基本的な役割 POP広告(Point of Purchase広告)とは、店舗の売り場で消費者に商品を訴求するための広告ツールです。ポスターやプライスカード、スタンドなど形態はさまざまですが、共通する目的は「購入の意思決定を後押しすること」です。テレビCMやWeb広告と違い、お客様が“買うかどうか”を決める現場で直接お客様の気持ちに働きかけるのが大きな特徴です。 なぜ店頭でPOP広告が重視されるのか 店頭は消費者が実際に商品を手に取り、最終的に比較・選択を行う場です。購買の7割以上が店頭での気づきや比較によって決まるという調査もあり、POP広告の影響は小さくありません。特に、棚に並ぶ数多くの商品から自社商品を選んでもらうためには、短時間で目を引き、わかりやすく情報を伝えるPOP広告の存在が欠かせないのです。 POP広告の種類と特徴 棚帯・プライスカード型POP 最も基本的なPOP広告が、棚帯やプライスカードです。価格だけでなく「新商品」「期間限定」「売れ筋」といった補足情報を加えることで、消費者の興味を惹きつけます。シンプルですが設置数が多く、売場全体の印象を大きく左右します。 卓上型・スタンド型POP 商品棚やレジ横に置かれるスタンド型POPは、特定商品を強調するために使われます。サイズが大きめで視認性が高いため、イベントやキャンペーン時に効果を発揮します。また、試食やサンプリングと組み合わせることで、POPで興味を持ったあとに、実際の味や使用感を体感してもらうことができるため、商品価値への納得感が高まり購買行動につながりやすくなります。 吊り下げ型・のぼり型POP 天井から吊るす「ハンギングPOP」や、通路に立てる「のぼり旗型POP」も、遠くから目を引く効果があります。売場の入口や通路沿いなど、視線の上部に配置することで、来店客の注意を自然に誘導できます。大型店やイベント売場など、広いスペースでの販促に向いています。 スイングPOP・クリップ型POP 商品棚に直接取り付け、ゆらゆらと揺れることで注目を集めるタイプです。限られた棚スペースでも動きで視線を誘導できるのが特長で、食品・日用品・化粧品など回転率の高い商品の販促に適しています。季節限定や新商品の告知など、一時的なキャンペーンにも活用しやすい形式です。 フロアPOP・タペストリー 床面や壁面を活用するフロアPOPやタペストリーは、売場の世界観を演出するのに効果的です。ブランドのロゴやビジュアルを大きく掲載することで、他商品との差別化を図り、売場全体に統一感をもたせることができます。特設コーナーや大型キャンペーンでよく利用されます。 デジタルPOPやデジタルサイネージ 近年増えているのがデジタルPOPです。動画やアニメーションを使って情報を伝えることで、静止画よりも強い訴求力を発揮します。時間帯に応じて表示内容を切り替えることもでき、効率的な販促手法として注目されています。 POP広告が購買行動に与える効果 認知・注意喚起の役割 POP広告はまず「気づき」を与えることに強みがあります。新商品や限定品といった情報を目立つ形で示すことで、消費者が商品を手に取るきっかけをつくります。特に定番商品と並ぶ新商品は埋もれやすいため、POP広告による視覚的アピールが必要です。 比較・選択を促す情報提供 消費者は複数の商品を比較しながら購入を決めます。POP広告に「糖質オフ」「環境に優しい素材使用」など具体的な特徴を記載すれば、差別化の判断材料になります。短い言葉で魅力を伝えることが、選ばれるきっかけになります。 衝動買いを後押しする心理効果 店頭では計画外の購買も多く発生します。POP広告に「今だけ」「残りわずか」といった限定感を盛り込むことで、衝動買いを促す効果が期待できます。心理的に「逃したくない」という感情を刺激します。 POP広告を効果的に活用するポイント 売り場設計との連動 POP広告は単体で設置するだけでなく、売り場全体の設計と連動させることが大切です。来店客の動線を考慮し、目に入りやすい位置や手に取りやすい場所に設置することで効果が高まります。 また、POPだけでなく店頭什器(ディスプレイ什器)を活用することで、立体的で印象に残る売り場を演出できます。たとえば、商品をまとめて陳列できるカウンター什器や、新商品を強調する専用什器を導入すれば、単なる棚上の販売から“ブランドゾーン”としての存在感を高めることが可能です。什器とPOPのデザインやトーンを統一することで、売り場全体に一貫性が生まれ、ブランドイメージをより強く印象づけることができます。とくに大型キャンペーンや季節プロモーションでは、POP×什器のセット設計が売上を左右する重要な要素となります。 メッセージの簡潔さと視認性 POP広告は短時間で消費者に伝える必要があります。文字は少なく、色使いやフォントを工夫することで、一瞬で内容を理解できるように設計するのが理想です。「誰に・何を・なぜ伝えるか」を明確にすることで、販促効果が大きくなります。 さらに、視線の流れと読みやすさを意識したデザインが重要です。キャッチコピー、商品名、価格など要素を階層的に配置し、短い時間でもメッセージが届きやすくなります。背景と文字のコントラストを高めたり、ブランドカラーを基調に統一したりすることで、視覚的な一体感と認知効果が高まります。 販促キャンペーンや他施策との組み合わせ POP広告単体でも効果はありますが、キャンペーンや他の施策と組み合わせることで相乗効果が生まれます。たとえば、店頭キャンペーンの告知をPOP広告で行い、QRコードでWeb施策へ誘導するなど、オフラインとオンラインをつなぐ仕組みを構築することで、顧客体験全体を強化できます。 さらに、SNS施策やサンプリング、デジタルサイネージと連動させることで、購買行動を促進する立体的なコミュニケーションが可能になります。店頭での接点をきっかけにオンラインでフォローアップを行えば、購買後のロイヤルティ形成にもつながります。 また、POPにキャンペーン参加の条件や特典を明示することで、購買動機を刺激する「行動導線」をつくることができます。単なる販促物としてではなく、顧客体験全体をデザインするタッチポイントとしてPOPを位置づけることが、今後の店頭マーケティングでは求められています。 まとめ — POP広告は購買を後押しする販促ツール POP広告は、購買の最終局面で消費者の意思決定に直接作用する強力な販促手段です。種類や設置方法によって効果は異なりますが、共通して重要なのは「わかりやすさ」「視認性」「売場との連動」です。さらに、デジタル化やデータ活用によってPOP広告の可能性は広がり続けています。今後も、POP広告は店頭販売を支える重要な役割を担う販促ツールとなるでしょう。

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販促キャンペーンの種類を徹底解説|現場で効果を出す実践的な選び方

市場が成熟し、消費者の選択肢が無数にある今、商品やサービスをただ並べるだけでは購入につながりません。販促キャンペーンは「何を、誰に、どう届けるか」で成果が大きく変わります。本記事では代表的な販促キャンペーンの種類を整理し、目的ごとにどのように使い分けるべきかを解説します。 代表的な販促キャンペーンの種類と特徴 サンプリングキャンペーン(試供品配布型の強みと課題) サンプリングキャンペーンは「まず試してもらう」ことを重視した代表的な手法です。新商品の味や香り、使用感などを体験してもらうことで、広告では伝わりにくい価値を直接感じてもらえます。食品や化粧品業界では王道の手法で、短期間で多くの人に試してもらえるメリットがあります。 一方で、配布コストが大きく、配布先の選定を誤るとターゲット外の消費に終わってしまうリスクもあります。単なるバラマキで終わらせず、ターゲット属性に合った場所やチャネルを見極めることが重要です。 モニターキャンペーン(体験レビューを通じた信頼性獲得) モニターキャンペーンは、消費者に商品を一定期間使ってもらい、感想やレビューを集める施策です。SNSやECサイトでの口コミが購買に直結することも多いため、実際の利用者の声は広告以上の説得力を持ちます。 ただし、レビューを集めるだけでなく「どう活用するか」が鍵です。たとえば、モニターキャンペーンで集めた利用者の声を公式サイトや販売店で二次利用することで、信頼性の高いコンテンツとして長期的に活用することができます。 店頭キャンペーン(リアル接点ならではの購買喚起) スーパーやドラッグストアなどの店頭で実施する店頭キャンペーンの種類は、リアルな接点を強みに持ちます。試食や実演販売は、消費者がその場で体験し、即購入につながりやすいのが特徴です。 一方で、人的リソースや会場確保が必要となり、オペレーションの煩雑さがネックになることもあります。現場を運営するスタッフの教育や進行管理が、成功を左右する大きなポイントです。 デジタルキャンペーン(SNSやアプリを活用した拡散力) InstagramやX(旧Twitter)、LINE公式アカウントなどを活用したデジタルキャンペーンは、低コストで大規模に情報を拡散できる強みがあります。たとえば「フォロー&リポスト」で参加できる形式は参加ハードルが低く、若年層に人気です。 ただし、フォロワー数や応募数が増えても、必ずしも購買に直結するとは限りません。単なる認知施策にとどめず、購入導線を明確に設計する必要があります。 リピート促進キャンペーン(顧客維持につながる仕組み) 購入経験がある顧客に再購入を促すのがリピート促進キャンペーンです。ポイント付与や次回割引クーポン、会員限定イベントなどが代表的です。 この施策は新規顧客獲得よりも効率的に売上を積み上げられる点で重要です。ただし、割引に依存しすぎると「安いときだけ買う」消費者を生みやすいため、特典の質やブランド体験をどう高めるかが成功の鍵になります。 販促キャンペーンの種類別の活用シーン 新商品投入期に効果的なキャンペーン 発売直後の商品は、まず「知ってもらうこと」が最優先です。この段階ではサンプリングキャンペーンやモニターキャンペーンが特に効果的です。実際に口にした、手に取った体験が、口コミやSNSでの発信につながり、認知を一気に拡大させます。 認知拡大に適したキャンペーン SNSや動画プラットフォームを活用したデジタルキャンペーンは、認知拡大に強みを発揮します。特に「シェアしたくなる仕掛け」を盛り込むと、広告費をかけずに自然な拡散が期待できます。インフルエンサーを絡めた展開も有効です。 購入率・リピート率を高めるキャンペーン 購入後の体験を起点にしたリピート促進キャンペーンは、利益率の改善に直結します。クーポンや会員限定特典を通じて「次も買おう」と思わせる設計は、多くの企業で売上の安定化に貢献しています。 販促キャンペーンを成功させるためのポイント 販促キャンペーンの成功には「目的」と「ターゲット」の明確化が不可欠 「応募数は多かったのに売上につながらない」といったケースは少なくありません。これは、キャンペーンの目的と評価基準があいまいなまま施策を進めてしまうことが原因です。販促キャンペーンを成功させるためには、「誰に・どんな体験を・どこで届けるか」を整理し、目的とターゲットを明確にすることが重要です。 たとえば、「認知拡大」が目的なら参加人数、「購買喚起」なら購入率、「ロイヤル顧客化」ならリピート率といったように、キャンペーンの種類ごとに達成すべき成果指標(KPI)をあらかじめ設定しておく必要があります。 このような設計段階で、成果のゴールを具体的に定義することで、無駄なコストを抑え、次の施策に活かせる学びを得ることができます。 ▢キャンペーンの目的は明確か ▢想定するターゲット像は具体的に描けているか ▢配布・運営・効果測定まで実務に落とし込めているか ▢ブランド体験として一貫性があるか まずはこの4点を意識して、適切な販促キャンペーンの種類を選択できるようにしましょう。 まとめ|販促キャンペーンの種類を戦略的に活かすポイント 販促キャンペーンの種類を正しく理解し、目的に応じて選ぶことが成果を左右します。サンプリング、モニター、店頭、デジタル、リピート促進といった代表的な種類にはそれぞれ強みと弱みがあり、状況に応じた使い分けが欠かせません。現場では「型」を理解したうえで、自社ならではの視点や工夫を加えることが、競合との差別化につながります。 エクスクリエのセールスプロモーション支援 ここまで「販促キャンペーンの種類」について解説してきましたが、実際に企画・設計・運営までを社内だけで行うのは大きな負担になります。 エクスクリエでは、サンプリング・モニター施策から店頭キャンペーン、デジタル施策まで幅広いセールスプロモーションを企画から実行まで一気通貫で支援しています。特に「モラタメ」「テンタメ」といった独自サービスを活用したキャンペーン展開は、新商品の認知拡大や購買喚起に強みがあります。 ・新商品のトライアルを効率的に広げたい ・生活者のリアルな声をマーケティングに活かしたい ・店頭とデジタルを連動させた販促施策を実現したい こうしたニーズにお応えできるノウハウを揃えています。 ▼詳しくはこちらをご覧ください。 https://www.excrie.co.jp/sales-promotion/

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店頭販売の効果と戦略|購買行動を促す売り場づくりのポイント

オンライン市場が拡大する一方で、店頭販売は依然として購買行動を生み出す重要なタッチポイントです。本記事では「店頭販売」の基本から最新の販促手法、デジタルとの融合までをわかりやすく解説します。 店頭販売とは 店頭販売の役割と特徴 店頭販売とは、店舗において商品やサービスを直接顧客に提供する販売形態を指します。実物を手に取り、体験できることから購買意欲を高めやすいのが特徴です。小売業に限らず、メーカーにとっても自社商品を顧客に直接アピールできる重要な接点となります。オンライン販売と異なり、販売員の接客や店頭ディスプレイ・陳列の工夫が売上に影響するため、店舗運営では現場での改善が欠かせません。 EC時代における店頭販売の位置づけ ECの台頭によって購買の一部はオンラインにシフトしましたが、店頭販売の役割は大きい存在です。特に高価格帯の商品や嗜好品では「実際に試してから購入したい」というニーズが根強くあり、商品の質感やサイズ感、色味などを五感で確かめられるため、購入に対する納得感や安心感を得やすい点が特徴です。 オンラインと競合するのではなく、むしろ体験を通じてブランドへの信頼を高める場として、店頭販売の重要性はさらに高まっています。 店頭販売のメリットと課題 顧客との直接接点がもたらす効果 店頭販売の最大の強みは「顧客と直接つながれること」です。販売員が顧客の反応をその場で確認し、提案内容を変えられる柔軟性はオンラインにはない価値です。また、商品を試してもらえることで安心感を提供でき、結果として購買率が高まります。さらに、その場での会話から得られる顧客の声はマーケティングデータとしても有用であり、商品開発や販促戦略の改善に活かすことができます。 人件費・在庫・運営コストの課題 一方で、店頭販売には課題も多くあります。まず人件費の負担です。販売員の教育や配置にはコストがかかり、経験やスキルによって売上に差が出やすい点も悩みの一つです。また、在庫を確保する必要があるため、回転率が低いと不良在庫のリスクが高まります。さらに、店舗賃料や光熱費といった固定費がかかるため、効率的な運営を行わないと利益率を圧迫する要因になります。 店頭販売を成功させる基本戦略 購買行動を促す売り場づくり 売り場の設計は、店頭販売において欠かせない要素です。商品陳列の高さや動線設計によって、顧客の滞在時間や購買意欲は大きく変わります。目にとまりやすい位置に新商品を配置する、関連商品をまとめて提案するなどの工夫は購買率向上につながります。さらに、季節感やイベント性を取り入れた視覚的な演出(VMD:ビジュアルマーチャンダイジング)は来店動機を強める効果もあります。 接客と販売員教育の重要性 販売員は店頭販売の「顔」といえる存在です。丁寧な接客は顧客体験を向上させ、信頼感を醸成します。逆に接客品質が低いと、商品やブランドへの印象まで悪化しかねません。販売員が商品知識を深め、顧客の質問に的確に答えられるよう教育体制を整えることは、売上の安定に直結します。ロールプレイング研修や接客マニュアルの整備など、教育に投資する企業は成果を得やすい傾向にあります。 キャンペーン・セール施策の設計 店頭販売では、セールやキャンペーンによる集客効果も大きな役割を果たします。割引だけでなく、ノベルティ配布や抽選イベントなど、体験型の施策は購買意欲を高めやすい方法です。重要なのは「期間限定」「数量限定」など希少性を演出することです。これにより来店動機が強まり、購買行動につながります。 店頭販売とセールスプロモーションの関係 サンプリングや試食の活用 食品や化粧品業界では、サンプリングや試食が典型的な店頭販売プロモーションです。実際に使用感や味を体験してもらうことで購買率が高まり、口コミ拡散にもつながります。短期間で認知度を高める施策としても有効であり、特に新商品の立ち上げ時には効果的です。 ポイントプログラムや特典施策 リピート購入を促すために有効なのが、ポイント付与や特典などのキャンペーン施策です。店頭販売で購入した顧客に次回使えるクーポンを提供するなど、継続的な来店を促す仕組みを組み込むことで、単発の売上にとどまらない関係性を築くことができます。これにより、顧客ロイヤリティが高まり長期的な売上安定につながります。 デジタルと融合する店頭販売 モニター広告やQRコードを活用した情報発信 店舗内のディスプレイやモニターを使って、商品紹介動画やキャンペーン情報を映し出すことで、来店客の目を引き、リアルタイムで情報を届けることができます。また、商品棚やPOPにQRコードを設置し、スマートフォンから詳細ページや動画コンテンツへ誘導することで、店頭だけでは伝えきれない情報を補完できます。 最近では、店舗で商品を知り、後日オンラインで購入する「ショールーミング」の行動も増えており、店頭とデジタルを連動させた販売促進が重要になっています。 OMO戦略によるオンライン・オフライン連携 OMO(Online Merges with Offline)戦略は、店頭販売とECを一体化させる取り組みです。店頭で商品を体験し、その場でEC注文できる仕組みや、ECサイトで購入した商品の返品・交換を店舗で受け付けるサービスなど、双方向の導線が整うことで顧客体験が向上します。結果として、ECと店頭販売の両方で相乗効果を発揮します。 データ活用で顧客体験を最適化 顧客の購買履歴や来店データを分析することで、店頭販売の効果を高められます。たとえば、来店頻度の高い顧客にパーソナライズされた特典を提供したり、売れ筋商品の陳列位置を最適化することが可能です。データに基づいた売り場づくりを行うことで、より効率的で成果の出やすい運営を実現します。 店頭販売の成功事例と海外事例 国内小売における効果的な店頭販売事例 国内のドラッグストアやスーパーでは、デジタルとリアルを組み合わせた店頭販売が成果を上げています。たとえば、化粧品ブランドではタッチアップ体験とアプリ連動クーポンをセットにした販促が定着しており、テスターで商品を試すとその場で専用アプリ経由の割引クーポンが発行されるなど、商品理解を深めた直後の購買を後押しする仕組みとして注目されています。 また食品・飲料カテゴリーでは「試食+QRコード訴求」を組み合わせて、新商品コーナーに試食台とデジタルサイネージを設置する店舗が増えています。QRコードからレシピ動画や開発ストーリーにアクセスしてもらうことで、単なる試食体験に“納得感”を加え、購入単価の上昇にもつながっています。 海外市場での新しい取り組み 海外では、店舗体験そのものをエンターテインメント化する流れが進んでいます。たとえば北米や欧州では、VRやARを使った店頭販売の演出が導入され、体験型ショッピングとして話題を集めています。 ARでは、スマートフォンをかざすと商品パッケージが立体的に動き出し、使用シーンやブランドストーリーを映像で体感できる仕組みが広がっています。 また、VRゴーグルを装着すると、ブランドの世界観を再現した仮想空間で商品を試せる店舗も登場しており、まるでブランドの世界に“没入”するようなショッピング体験が可能になっています。 単に商品を購入する場から「ブランド体験を提供する場」へと店頭販売の役割は進化しています。 まとめ — 店頭販売はブランド体験を形づくる場 店頭販売はECが普及する現在も、消費者との接点を生み出す重要なチャネルです。顧客との直接的な関係性を築き、ブランド体験を提供できる一方、コストや人材の課題も存在します。購買を促す売り場づくりや販売員教育、セールスプロモーション施策を組み合わせ、さらにデジタルとの融合を進めることで、店頭販売の価値は一層高まります。これからの時代においても、店頭販売は顧客との信頼を築くための不可欠な手段だと考えられます。 店頭販売を補完する新しいアプローチ 消費者の購買行動はオンライン・オフラインを行き来するようになり、店頭販売の効果を高めるには多角的なアプローチが欠かせません。エクスクリエが提供するセールスプロモーション支援サービスの中でも、「テンタメ」 と「店頭TV(デジタルサイネージ)」は特に有効な手段です。 テンタメは消費者が実際に商品を購入・体験し、その声を収集する仕組みであり、販売促進と市場調査を同時に実現できます。店頭での購買体験を後押ししつつ、生活者のリアルな声をマーケティングに活かせるため、店舗施策の精度向上に役立ちます。 店頭TV(デジタルサイネージ)は、売り場で映像を活用して商品の魅力をダイレクトに伝えるソリューションです。動画による訴求は商品理解を深め、POPや陳列では伝わりにくい情報を視覚的に補完できます。購買直前のタイミングで訴求できるため、店頭での意思決定を後押しする強力なメディアとして注目されています。 テンタメによる「リアルな声の収集」と、店頭TVによる「リアルタイムな体験訴求」を組み合わせることで、店舗起点のプロモーションをより戦略的に展開することが可能です。

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