聞く技術研究所

世界から再エネ圧力がかかるようになる【月刊よげんの書2023年11月:よげん6】

エクスクリエでは毎月「よげんの書」セミナーを開催しています。

「よげんの書」では日本国内に限らず、世界の経済、政治、エンタメなど、多角的な視点とデータで「今」何が起きているのかをご紹介しています。時代の流れを捉えることで、企業や個人がマーケティングに取り入れるべき時代のテーマを掴むヒントを得る一助になれば、と願っています。

今回は11/22に行われた「月刊:よげんの書11月号」で発表された内容をご紹介します。よげんの書は大久保氏と舟久保のテーマ発表&コメントで構成されており、開催報告ではセミナー中に取り交わされたコメントなども記載します。

世界から再エネ圧力がかかるようになる

再エネの容量を2030年までに3倍にする必要がある

IEAの報告書によると、地球温暖化対策の国際枠組みである「パリ協定」の目標を達成するためには、再生可能エネルギーの容量を、2023年から2030年にかけて3倍に増やす必要があるとした。他の国は再生可能エネルギーの容量を増やしているが、日本はほぼ横ばいの状態だ。

再生エネの設備容量を3倍に増やすと、110億キロワット(2021年時点の化石燃料発電容量の2倍以上)で、2030年の再生エネの発電(容量ベース)に占めるシェアは約70%になる。この計画が実現すれば、「パリ協定」の目標である、2030年までに約70億トンの二酸化炭素(CO2)排出を回避でき、化石燃料の需要も25%減少すると予測されている。

日本の電源構成は2030年に30%台

日本の電源構成を見てみると、2030年に再エネは36〜37%と計画されている。2021年時点で再エネ比率は20.3%なので、計画では1.8倍程度の増加となる。しかし、IEAの試算に沿って考えると、単純に計算しても、2030年の再エネ比率を60%にする必要がある。

GX(Green Transformation:グリーントランスフォーメーション)の基本方針

GXとは、Green Transformation(グリーントランスフォーメーション)のこと。日本のGXの基本方針の主なポイントは、原子力の最大限活用、カーボンプライシングの本格導入、脱酸素投資だ。

世界的には、テクノロジーが発達することで太陽光と風力エネルギーの技術が成熟し、導入期間が短縮され、コストも大幅に低下した。IEAは新興国や途上国での導入拡大と先進国による支援の拡大を求めている。しかし、日本は再生エネの導入量で欧州や中国に比べて遅れており、政策の遅れや規制緩和の不足がその主な要因とされている。流れについていけていないということだ。世界の主要国は再生エネの普及に力を入れており、サプライチェーンの確立にも注力している。日本はこの流れに追いつくため、再生エネの導入を加速し、産業として早期に育成する必要がある。

企業側への圧力も大きくなるだろう。企業が個別にPPA(「Power Purchase Agreement(電力販売契約)」)をむずび、脱酸素に踏み切ろうとしているところも増えてきている。

プラダ、フェラガモなどのグローバル展開しているアパレルブランドがコーポレートPPAを結んでいる。脱炭素に動いている企業であることを明示することで持続可能な組織であることの証明にもなる。また、戦争などの情勢不安により電力価格が乱高下するなかで、安定した電力価格で自分たちの事業を運営できるようになることでもある。しっかり動くことで良い方向に向かう気がする。

電鉄会社は証明書付きの再エネを買っている。東急、東武もそれで「私たちはすべての電力を再生可能エネルギーで賄っています」と宣言できる。そうすると、日本で作る再生可能エネルギーが足りなくなる可能性があり、価格が上がるかもしれない。そこは世界の流れに合わせた方がいいだろう。

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