定年女子の「人生100年時代」への模索が始まる【別冊:よげんの書 ― Wの時代 ~ 女性市場の歩き方を考える:よげんその2】

2022.12.01

聞く技術研究所

生活の変化や経済・環境の変化など、社会課題を背景に少し先の生活を考えるためのマーケティングセミナー「月刊:よげんの書」の別冊版として、「Wの時代 ~ 女性市場の歩き方を考える」を開催しました。日本の消費の中心にいて、今後日本の生産性向上のキープレイヤーとなる40代~50代女性と共に取り組むマーケティングに焦点を当てたセミナーです。

世界でダイバーシティの重要性が叫ばれ、女性活躍が進んでいる中、日本においては40代~50代の女性への注目がまだ少ないのが現状です。セミナーでは、40代~50代の女性の現状や課題、これから取り組むべきマーケティングについてお伝えしました。今回の記事では、セミナーで発表された内容をご紹介します。



定年女子の「人生100年時代」への模索が始まる


1986年に男女雇用機会均等法が施行されて36年。90年ごろまでに就職した均等法第1世代の女性は定年期を迎えている。総務省の労働力調査では、55~59歳の正規雇用で働く女性は約100万人。男性の問題だった定年が女性にも身近になりつつある。今や企業には努力義務として、定年を70歳にするという動きもある。女性にとってロールモデルとなる先輩が極めて少ない中、第1世代はセカンドキャリアをどう描くのか。


長く働きたい女性は多い


電通シニアプロジェクトが行った定年女子調査によると、「女性活躍社会に賛成である」79.5%、「女性の管理職がもっと増えるべきだ」67%、「(部長以上の)管理職になりたい(なりたかった)」18.1%。ここにもジェンダーの社会通念、女性は管理職に向かないという通念があるのかもしれない。ところが、長く働きたい女性は多い。同じ調査内で「定年まで働きたい女性」は69%。定年後も働くことが決まっている、働きたいという人は合計して67.4%だった。年金は65歳。段々後ろ倒しにされる。70歳になって支給開始になると、働かく必要が出てくる。働く理由としても、経済的な理由がトップ3だった。新しい働き方を考える必要がある。


人生100年時代と言われているが、人生戦略は変化する


リンダ・グラットンによる「LIFE SHIFT:100年時代の行動戦略」内では、今までみんな同じような「教育→仕事→老後」の3ステージ制を過ごしてきた。だが、これが難しくなり、これからは「教育→マルチステージ→老後」のマルチステージ制になる。女性は出産、育児なども経験し、入れ替わりをするマルチステージを過ごしている人が多い。これから来るマルチステージ制に対しても対応できるような柔軟さが女性にはあるだろう。

60歳以上で働いている人は500万人ほどいる。それは10年前の1.7倍にもなる。これからさらに増えるだろう。女性のロールモデルもないし、男性のロールモデルもない。同じ会社で働いていくのをロールモデルとすると、会社の規則に寄ってしまうので、気を付けなければいけない。定年制度を撤廃している会社はかなり少ない。ロールモデルになり切れていないなどの環境があるので、マルチステージ制なのではないか。
ドゥ・ハウス(旧社名、現エクスクリエ)でもDOさんというフィールドマーケータをネットワークしており、主婦でありながらマーケティングに携わってくれている。定年という概念はない。モデレーターとして独り立ちしたり、託児のサービスや事業を始めたり、人生の新しいステージにおいて出会うきっかけがDOさんを見ていると、ある気がする。マルチステージを提示するのが必要。新しいステージが広がるだろう。
そんな働き方をしている人がすでにいるから、もっと発展していくといい。私もこういう生き方をしたいという人が出てくるかもしれない。それはとてもいいこと

  • Download

    各種サービスのご紹介資料のダウンロードは、こちらからお願いします。

  • Contact

    各種サービス、調査結果の利用等に関するお問い合わせやご相談は、こちらからお願いします。