
ポストコロナの世界にスウィフトノミクスが席巻する【月刊よげんの書2023年8月:よげん4】
2023.11.09
聞く技術研究所
「よげんの書」では日本国内に限らず、世界の経済、政治、エンタメなど、多角的な視点とデータで「今」何が起きているのかをご紹介しています。時代の流れを捉えることで、企業や個人がマーケティングに取り入れるべき時代のテーマを掴むヒントを得る一助になりましたら幸いです。
ポストコロナの世界にスウィフトノミクスが席巻する
「スウィフトノミクス」とはテイラー・スウィフト経済学のことだ。テイラー・スウィフトが動くと、同じようにお金が動くことから名前が付いた。彼女が2023年3月から始めた世界公演は、1年半の期間中に約1400億円の記録的な売り上げが見込まれる。先行する米国では行く先々でホテルやレストラン、バーが混み合い、インフレが起こるなど、多大な経済効果をもたらしてきた。
スウィフトノミクスの例
チケット代が560万円以上に値上がり
チケット販売のウェブサイトは、受付開始と同時に1400万人が殺到してクラッシュした。一般販売を停止したため、限られたチケットは転売市場で急騰し、560万円以上を提示する売り手も登場した。
ライブが行われるシンガポールでインフレに
公演期間に当たる2024年3月2~9日の3つ星や4つ星ホテルの価格はその前の週に比べて20%高く、東南アジアの他都市からシンガポールに行く航空券は通常の3倍近い価格となった。こんなにも高額になっているのに、テイラースウィフトを追いかけていく人がいるのだ。
トキに消費する消費行動
コト消費の価値が高まり、ディズニーランドのチケット価格はオープン時に比べて3倍近くになった。これは、当時よりも3倍払ってでも体験する価値があり、対価を支払うという現れだ。再現不可能な体験を求めて、テイラーのライブに参加するオーディエンスは、「タイパ」が求められる貴重な時間を高い価値を持つトキで埋めるために、高額なチケットや宿泊費・交通費も受け入れて、トキ消費に投資をはじめている。限られた時間の価値をどれだけ高められるのか、そこにどれだけ投資ができるのか、という視点は注目するべきだろう。
トキが投機にもなる時がくるのかもしれない。トキ消費は同じ時間を共有するということ。体験を共有するのであればバーチャルでもいいが、リアルに時間と場を共有する意味や価値が出てきているのだ。違うものでいろんな体験ができるからこそ、トキ消費の価値が高まっているのだろう。
音楽が配信全盛の時代に、レコードが売れるのと同じことだ。対比の中で、価値が高まるということが起こっている。
-
Download
各種サービスのご紹介資料のダウンロードは、こちらからお願いします。
-
Contact
各種サービス、調査結果の利用等に関するお問い合わせやご相談は、こちらからお願いします。