聞く技術研究所

街角のゴミ箱のジレンマがはじまる【月刊よげんの書2023年11月:よげん5】

エクスクリエでは毎月「よげんの書」セミナーを開催しています。

「よげんの書」では日本国内に限らず、世界の経済、政治、エンタメなど、多角的な視点とデータで「今」何が起きているのかをご紹介しています。時代の流れを捉えることで、企業や個人がマーケティングに取り入れるべき時代のテーマを掴むヒントを得る一助になれば、と願っています。

今回は11/22に行われた「月刊:よげんの書11月号」で発表された内容をご紹介します。よげんの書は大久保氏と舟久保のテーマ発表&コメントで構成されており、開催報告ではセミナー中に取り交わされたコメントなども記載します。

街角のゴミ箱のジレンマがはじまる

ポストコロナでゴミ箱の設置が進む

新型コロナウイルス対策緩和の影響でインバウンドなど観光客が戻るなか、街角にゴミ箱を再び設置する動きが観光地などで広がっている。国内のゴミ箱は過去30年で撤去が進み、観光庁の調査でも訪日客がゴミ箱の少なさを指摘した。
群馬県の伊香保温泉では3月、観光客向けにゴミ箱を新設した。燃えるゴミとペットボトルなどを入れる2種類を用意し、それぞれに英語や中国語のほか、ピクトグラムで分別方法を表記した。「外国の人の利便性を上げたい」と市の担当者は狙いを説明する。

かつては「置いたら負け」

過去30年ほどで撤去が進んだ背景は、コストと管理の難しさだ。

  • 回収が遅れてゴミがあふれると、そこにはゴミを捨ててもよい、という認識になり、周囲へのポイ捨てを助長する
  • 家庭ゴミ廃棄の有料化が進んだ地域も多く、家庭ゴミのゴミ箱への廃棄が頻発した
  • 地下鉄サリン事件以後は安全対策の観点で撤去された
  • コロナ禍で衛生面に関する懸念が高まり、撤去された

今後は、メリットとデメリットを考え、何が地域の利益になるかを検討していくことが必要だ。

ゴミ箱の効果的な設置方法に「ナッジ」を活かす

ナッジの原則としてよく知られているのが「EAST」である。EASTは、Easy, Attractive, Social, Timelyの頭文字を取ったもので、重要な要素が凝縮されている。

自然な動線に合わせた形状(Easy)

自転車での通勤通学を推奨しており、自転車利用が非常に盛んなデンマークのコペンハーゲンでは、自転車に乗ったままゴミを捨てやすいように、傾きをつけた形状のごみ箱を導入している。

足跡ステッカーで目印(Attractive)

同じくコペンハーゲンで導入されている、足跡を模した黄色いステッカーがごみ箱に向かうように設置されているごみ箱だ。ゴミを持っている人が、どこに捨てればようのかイメージを持ちやすくなるようなデザインだ。このような目を引く仕掛けがあるだけで、ポイ捨てが46%減少した。

ゴミ箱設置のジレンマはありつつ、ナッジできることを考えながら、増えているインバウンドの人にも、住んでいる我々も気持ちいい環境が作れたらいい。

訪日外国人のインタビューで「日本はゴミが落ちていなくてキレイ」と言っていた。日本はゴミ箱が少ないのに、ゴミが落ちていないのだ。それは、みんなゴミを持ち帰って家で捨てているからだ。ゴミ箱がなくて困っているのはインバウンドの人ならば、行動変容した日本人の行動自体を伝えるのも手だ。ゴミ箱を置くことだけが街の美化に繋がる唯一の方法ではないのだ。

海外でのサッカーの試合で、日本人サポーターがゴミを拾う映像もあるし、クリーンビーチなどもある。日本人のゴミに対しての行動、態度を逆に国に帰ってもらうのもいい。入国したときにゴミ袋を渡して、観光しながら出たゴミはホテルに帰って捨ててね、というナッジもありかも。

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