聞く技術研究所

強欲インフレが経済をかき回す 【月刊よげんの書2023年10月:よげん1】

ドゥ・ハウスでは毎月「よげんの書」セミナーを開催しています。

「よげんの書」では日本国内に限らず、世界の経済、政治、エンタメなど、多角的な視点とデータで「今」何が起きているのかをご紹介しています。時代の流れを捉えることで、企業や個人がマーケティングに取り入れるべき時代のテーマを掴むヒントを得る一助になれば、と願っています。

今回は10/27に行われた「月刊:よげんの書10月号」で発表された内容をご紹介します。よげんの書は大久保氏と舟久保のテーマ発表&コメントで構成されており、開催報告ではセミナー中に取り交わされたコメントなども記載します。

強欲インフレが経済をかき回す

Greedflation:強欲インフレ

先進各国でインフレが収まる気配がないが、その背景に「強欲」があるのではないかと言われている。アズダ、セインズベリー、テスコ……。英国を代表するスーパーマーケットが不当に販売価格を引き上げている疑いが浮上したため、7月まで英競争・市場庁の監視下に置かれた。ユーロ圏の22年のインフレ寄与度を要因分解すると、企業利益が45%で輸入コストの40%を上回った。アメリカでは企業の利益より労働コストが上がっているが、ユーロ圏では労働コスト以上に企業利益が上がっているところもあり、ドイツでは企業利益が24%持ち直したのに対して労働コストは13%増にとどまった。これが企業の強欲で、それによってインフレが止まらないのではないかといわれている。

英国で強欲の悪循環が続く

インフレ率がユーロ圏や米国を上回る英国では、企業と労働者の双方の強欲が悪循環を引き起こし、賃金と物価の連続的に上昇しており、インフレが収まっていない。互いに損失を相殺しようと動くことで、誰もが貧しくなっている。労働者も賃上げをしてほしいと訴えるストライキが多く、33年ぶりの規模となった。それによって251万日もの労働日数が失われているという計算もあった。イギリスでは値上げがある中、労働者の実質所得が少なくなり、ストライキによって賃上げが行われた後、企業の利益がが減り、さらに値上げが行われるという悪循環になっている。双方の強欲の悪循環があり、誰もが貧しくなる環境になっている。

日本でもいよいよサービス業に値上げの波が

日本は他の国と比べるとインフレが緩やかだが、食品・日用品の値上げが落ち着きはじめた一方で、人手不足と人件費上昇によるサービス業の値上げが9月、10月に進行する予定だ。しかし、これは一概に悪いということではなく、デフレだった日本が一歩進むための変化なのかもしれない。他の国のような悪循環を起こさないためにも、強欲にならず、誠実に行動する必要があるだろう。

日本でも企業利益が先行している。日本は実質賃金が17カ月下がり続けている。円安によって企業利益は計画していたより上がっているところが多いのではないだろうか。計画している利益ではないので、賃金に反映するのを躊躇うところはあるのかもしれない。だが、先行して分配しなければ、成長の好循環にはならないだろう。

しかし、日本の消費者は厳しいので、値上げされると買わないという選択になる人が多い。そこが難しい。

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