聞く技術研究所

【開催報告】月刊:よげんの書2022年6月号(前編)――子どものためのアイデアをたくさん生み出そう

ドゥ・ハウスでは毎月「よげんの書」セミナーを開催しています。 「よげんの書」では日本国内に限らず、世界の経済、政治、エンタメなど、多角的な視点とデータで「今」何が起きているのかをご紹介しています。時代の流れを捉えることで、企業や個人がマーケティングに取り入れるべき時代のテーマを掴むヒントを得る一助になれば、と願っています。 今回は6/17に行われた「月刊:よげんの書6月号」の前半で発表された内容をご紹介します。よげんの書は大久保氏と舟久保のテーマ発表&コメントで構成されており、開催報告ではセミナー中に取り交わされたコメントなども記載します。

利益よりも倫理を重視する企業の評価が高まる

ロシアに対する企業の自主制裁

米エール大学の研究によると、2022年5月16日時点で、ロシア事業を何らかの形で見直すと表明した企業は全世界で1,000社超に達した。 ウクライナ侵攻の直前である2022年2月23日から2022年4月8日までの投資収益率をグループ別に集計したところ、「事業撤退」の企業群はプラス4%であるのに対して、「事業継続」はマイナス5.5%だった。ロシアに厳しい姿勢をとる企業ほど市場の評価が高いという分析を示している。

5月16日 ― 米マクドナルドはロシア事業の売却を発表

米マクドナルドは、冷戦収束の証としてロシアに出店。直近ではロシアに850店舗を展開し、同国内で6万2000人の従業員を抱えていた。撤退に伴う損失として最大で14億ドル(約1800億円)を計上する。だが、売却発表直後に下がった株価はその後持ち直している。
倫理を重んじることを評価した投資家が、増えてきているのだろう。

4月21日 ― 英ユニリーバは16歳未満への広告中止を発表

英国ユニリーバの消費者調査によると、子どもは食事以外の時間に1日約12個のお菓子を食べ、大人の5倍の頻度でアイスクリームを食べていることが明らかになった。お菓子の食べ過ぎによる悪影響を懸念し、マーケティングにおいて16歳未満をターゲットにしないことを決めた。この発表により一度株価が下落したが、その後持ち直している。
「purposeに沿っていないことは、収益を圧迫しようともしない企業が生き延びる」とコトラーは言っているが、まさに今投資家はESG投資や倫理的にしっかりしている企業に投資をするようになってきている。こういった方向は今後も続くであろうし、市場もそこを評価していくことだろう。

非婚化とジェントリフィケーションが少子化の原因だったことがわかる

出生数・婚姻数ともに戦後最小

2021年の人口動態調査を6月3日に厚生労働省が発表した。それによると20、21年の日本人の出生数は81万1千人あまり。ベビーブームピークだった1949年の30%となった。婚姻数は50万1千件あまりとなり、戦後最小だ。日本は欧米主要国と比較して、結婚した夫婦が子供をもつ例が圧倒的に多いため、婚姻件数の向上が出生数の増加へとつながるとともに、非婚化の進行が少子化の原因となる可能性が高い。

ジェントリフィケーション

ジェントリフィケーションとは都市の富裕化現象のこと。都市の高級化や階級浄化とも言われる。この言葉には、低所得層の居住の難しさや、現在の住まいから立ち退きさせられることへの批判性が含まれている。

住宅コストと反比例する出生率

出生率が低い、東アジアや東南アジアの裕福な国・地域には以下の共通点が見えてくる。
  • 結婚せずに子どもを産む人の割合が低い
  • 教育費が高い
  • 住宅コストが高い
住宅コストと出生率の反比例は米国にもデータがあり、住宅価格が127万円上昇すると住宅を持っている家庭の出生率は5%高くなり、持っていない家庭の出生率は2.4%下がる。ジェントリフィケーションの進行と少子化のリンクが見えてくる
最近よく話題になるが、20代男性の4割はデートしたことがないという。でも実は元々そんなものだったと思う。少し前の調査でも18歳までにデートしたことのない男性は4割くらいだったのだから。ただ、以前はそれでも周りが結婚できるようお膳立てをすることがあった。今は、それがし辛い環境になってきている。例えば、昔は上司が結婚を勧めることもあったが、今は恋愛のことを話題にするとセクハラになることもある。ご近所のおばさんが口を利いてくれるみたいなものも今はあまりない。そういう、周りが世話を焼くという環境がなくなったのもある。
お金のあるなし、住宅コストと反比例するとかは因果じゃなくて相関とも思える。少子化対策っていうことは、そうしたもう少し深いところで考えた方が良い気がする。恋愛や結婚が環境的にし辛くなっている気もする。

人口減が戦争の引き鉄だったことが見えてくる

プーチン氏は人口拡大に執着

旧ソ連・ロシアの人口の転換点を、人口学者は「ロシアの十字架」と呼ぶ。体制崩壊直後の1992年、グラフ上で十字架を描くように死亡数と逆転した。人口減は国家存亡の危機だ。プーチン氏は大統領就任以降、人口増を国家目標に掲げてきた。2020年の年次教書演説では「ロシアの運命は子供が何人生まれるかにかかっている」と主張した。ロシアで減り続けていた人口が一時的に持ち直したのは2014年、クリミア半島の併合を宣言した年だ。 その手段が「在外同胞」と呼ぶ旧ソ連諸国住民の移住だ。プーチン氏は19年、ウクライナ移民らがロシア国籍を得やすくする法律に署名した。AP通信によると、ウクライナ東部地域で人口の約18%にあたる72万人以上がロシア国籍を取得した。

衰退に向かう大国は攻撃性を強める

「挑戦者が最も攻撃的になるのは、自信満々で着実に台頭しているときではない。目標を将来達成できなくなると恐れたとき、無謀なリスクをいとわなくなる」米ジョンズ・ホプキンス大学ハル・ブランズ教授の言葉である。 ドイツ帝国や戦前の日本がそうだったように、そしてこれから同じ道をたどると懸念しなければならないのが中国だ。
実は、ロシアの男性の平均寿命がとても短い。何故ならウォッカで肝臓をやられるから。戦争を起こす前に、本当は自国の国民を長生きさせれば良いのに、と思ってもしまう。ただ現実的に今、戦争がおきていることは見過ごすことはできない。
実際問題世界中の人口は増えている。そもそも人口が増えていくことは問題、というところもあった。国や民族という枠組みだけではなく、この世界の中に新しい命が増えていくことにもっと目を配るべきであろう。そうした意味でも、人口減少のトップを切っている日本は世界平和のために新しい視点を持って頑張って欲しい。

スローバリゼーションと食料ナショナリズムがはじまる

グローバリゼーションは終わった

米ブラックロックのラリー・フィンクCEOは「グローバリゼーションは終わった」と言う。Covid-19による変化と、ロシアのウクライナ侵攻によってグローバリゼーションの減速を意味する「スローバリゼーション」という状態に注目が集まる。米国主導の世界秩序が揺らぐ中で、グローバリゼーションは減速し、しかし多層的になって続いていくと予想されている。

食料ナショナリズムがはじまる

主要な食料の輸出禁止を打ち出す国が相次いでいる。自国の供給確保を優先するためで、規制を導入した国は20に達した。各国が主要食品の輸出禁止に動くのは、食料高騰が現政権の批判や政情不安に直結するからだ。原油高より社会不安の原因になりやすい。
ロシアが攻撃するのも、ウクライナが守るのもそれぞれの国(民)のナショナリズムだ。ナショナリズムが良い・悪いではなく、それは各国(民)にとって「守るべき」もの。
相田みつをの言葉に「奪い合えば足りぬ 分け合えば余る」という言葉がある。奪い合うから足りなくなる。皆が持ち寄り分け合えば実際には余るもの。世界がそういう精神でやっていく段階にあがれれば、変わっていくだろう。国連だろうか、どこかが主導していく世界になってほしい。それこそサプライチェーンというわけだ。

ピンチはチャンスを実践できるかが試される

今は、2008年のようだ

リーマンショック下に、収入減を補填するために部屋を貸し出す人々を支援する「エアビーアンドビー」を創業したブライアン・チェスキーがつぶやいた。そして「必ず次の展開がある」と示唆した。過去を遡ると危機と機会は連動している。 今の危機から機会をつかむには、逆境にあっても社会の変革を目指して果敢に攻めるピンチはチャンスを実践する力が必要になる。

各国が革命人材を求めている

危機を機会に変える、ハイレベルの起業家層を誘致する動きが各国でおきている。スタートアップビザを発行し、少子高齢化も見据えて国内では足りない人材を得て成長力を取り込もうとしている。スタートアップビザは欧州や南米を中心に約20カ国が導入している。
2007年iPhone。2008年Airbnb。確かにピンチをチャンスにするけれど、その前に下支えをすることができるものができている。そうした下地があることが、新しい事業が生まれるきっかけになるので大切。前にあるものをうまく生かせるような、そんなチャンスの捉え方が大切だろう。

2022年6月号の提言――子どものためのアイデアをたくさん生み出そう

世界は少子化・人口減へと向かい、それにより多くの危機を抱えている。危機を機会に変えるために、多くの子どもが生まれ・よりよく育つためのアイデアがこれからさらに求められていく。子どもが生まれ育つためのアイデアをカテゴリ・ジャンルを取っ払って子どものために何ができるかを考えていくことが大切。子どものため、を起点に考えてみよう。子どもは希望なのだから。